HUISの遠州織物の洋服について
HUISの洋服とFRANK暮らしの道具
当店(FRANK暮らしの道具)はHUISさんの遠州織物のお洋服の正規取扱店です。
遠州織物の中でも特別な旧式のシャトル織機で織られた生地に惚れ込みお取引させて頂いております。
本記事ではHUISさんが制作された冊子「HUIS. Journal」より記事をお借りし、HUISさんの遠州織物の生地への情熱をお伝えしています。
取扱い商品はオンラインストアでご覧いただけます。
HUISと遠州織物
高級シャツの生地の産地として知られる「遠州織物」
HUISの洋服はその中でも旧式の「シャトル織機」で織られた生地を使用しています。
シャトル織機は低速で織ることから、極めて細い糸を超高密度で織ることが出来ます。
多くの糸量を使うことから耐久性が高く、また驚くほど柔らかく上質な質感が生まれます。
通常はこんなにも細く、高密度で織られた生地を目にすること、手にする事はほとんどありません。
それはシャトル織機によってシャツ生地を織る機織り工場は、世界でもほとんどないからです。
今ではもう製造されていない、価値ある旧式のシャトル織機だからこそ生まれる、様々な機能性と心地よさを持った特別な生地なのです。
一方で、低速のシャトル織機での生地生産は、最新の近代織機と比較して20~30倍もの時間がかかると言われています。
例えるならば「通常1日で織る生地を、1ヶ月近くもかけて織っている」ということです。
それだけの途方もない時間をかけることで初めて生まれる特別な生地なのです。
ただ生地生産にそれだけの時間が掛かっているということは、需給バランスで成る経済社会の中で、それでけの付加価値がついて流通されるということです。
ごくごく単純な計算で考えれば、20倍~30倍の付加価値。
この機屋さんが生み出す生地、その耐久性・機能性と心地よさには、繊維業界の中でそれだけの価値が認められています。
世界的にも希少な「シャトル織機」で織られた生地に、世界中の高級ブランドが自然と行き着くのにはこうした理由があります。
遠州という地域の中で生地を直接仕入れることができることで、こうした世界的な最高級の生地を使わせていただきながらも、手の届きやすい価格帯に留め、日常着として使ってもらえること、産地や生地背景を感じてもらえることをコンセプトにしています。
HUISの洋服に使われる生地
生地が織られる旧式のシャトル織機は約50年前に製造され、現在では製造されていない貴重な織機です。
「シャトル」と言われる部品がヨコ糸を運び、ゆっくりゆっくりと時間をかけて織っていきます。
対して現代の最新式の織機は「空気」でヨコ糸を運び、そのスピードは目ではとても追えないほどの超高速で、一瞬で大量の生地を生産することができます。
こうした二つの織機で織られる生地を比べてみると、極めてゆっくりと織る「シャトル織機」は、ヨコ糸にできるだけテンションをかけません。
糸に負担をかけずに、ゆっくりと、ぎっしりと密度を入れて織っていきます。
一方、最新式の織機で織られる生地は超高速で織るため、糸にテンションをかけざるを得ません。
強い力で糸を張りながら少ない時間で大量の生地を作るため、低密度で織られたものが主流です。
一見しては分かりづらいものですが、こうして「糸をギンギンに張った低密度の生地」と「たっぷりの糸を”ふにゃふにゃ”で”ぎゅうぎゅう”に織った生地」を想像していただければ、その肌触り、着心地の良さは明らかだと思います。
糸に負担をかけずに織ることは、耐久性にも繋がり、衝撃を吸収し、使い込むほどに風合いの増す生地となります。
細い糸を超高密度に織った生地は、風を通しにくく、軽いだけでなく保温性も備えます。
またそのしなやかさは服にとって大切な「落ち感」生み、他にはない着心地とともに美しいシルエットを生みます。
そして生地表面の凹凸感は、肌あたりの軽さに繋がります。
一日着ていても疲れ方が違うのは、軽さの他にもこうした理由があります。
シャトル織機で織られた生地は決して華美なものではありません。
鮮やかなカラーのテキスタイルデザインや、目を見張るような織柄があるわけではなく、多くは無地の素朴な生地です。
ですが実際に着ることで、私たちの暮らしを豊かにしてくれる、そんな特別な生地です。
そんな生地が今でも手に入れることができるのは、何倍も、何十倍も早く織ることのできる織機が開発され、他社が設備を入れ替えていくなかで、シャトル織機を使い続けてきた遠州の職人さんたちがいるからです。
効率化の一方で失われてしまう大切なもの、その価値に重きを置いて、実直にこれまでどおりの生地を織り続けてきた、その志があったからです。
HUISの生地は、一目見て伝わる情報量は多くはありません。多様な情報発信ツールが広がる中で、決して”映える”生地ではありません。
そんな寡黙な生地のことを、しっかりと感じ、大切にしていただけるお客さまのおかげで、HUISはこの生地を使い続けることができます。
だから遠州織物の機屋さんに生地を発注し続けることができます。
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